同僚に教えてもらうまで知らなかったのだけれど、アートとテクノロジーのイベント Eyeo Festival というものがある。すぐに売り切れちゃうから、ということで同僚がカレンダーにチケット発売日も入れてくれて、チームメイト数人で行ってきた。ありがたいことに会社がチケット代などをサポートしてくれた。
開催場所はミネアポリス。今回のイベントがなければおそらく行く機会がなかったと思う。
オーガナイザーの記事で、Eyeoの内容について説明するのに箇条書き以外の方法が思いつかない、とあるのだけれど「何々に関するカンファレンス」と言い切れるほど特定のトピックに絞られておらず、とにかくいろんなトピックが混ざっているフェスティバルだった。アート、テクノロジー、データビジュアライズ、ジャーナリズムなどなど。
Walker Art Centerという美術館で行われたのだけれど、登壇会場が建物内の離れた場所に2箇所あって、しかも同時に2つ開催されるため、全部の講演を聞くことは不可能だった。しかし、そのどちらに行ってもハズレがないくらい良い登壇者が集まっていた。
以下はメモ。
Nadieh Bremer、フリーランスのデータビジュアライゼーションデザイナー。彼女が関わっているプロジェクトのプロセスを紹介してくれたのだけれど、圧巻だった。また、データを見せる際の配色などにも気を配っていて、アウトプットがとにかく美しい。 Why do cats and dogs...? は彼女がGoogleと一緒に取り組んだプロジェクト。多くの猫と犬に関する検索では「Why」から始まるものが多いのだそう。そこで彼女はWhy do(are) cats...の後に続く言葉をビジュアライズして、その結果をインタラクティブに見れるものを作った。Eyeoでは最終のアウトプットに至るまでのプロセスを紹介してくれた。
Moritz Stefaner、彼もまた圧巻のデータビジュアライゼーションの数々を見せてくれた。また、考えさせられる言葉や投げかけが多かった。
持続可能なデータビジュアライゼーションデザインの原則:
Data-driven, user-centric: 1) Build towards actual needs 2) with data people actually care about
Own platform, open technologies
The real work starts after you are "done"
Daniel Shiffman、プログラミングについて教えている人。Eyeoでは観客を巻き込んでのLive Codingをやってくれた。Eyeoで初めて知ったのだけど、めちゃくちゃエンターテイナー!話し方とか盛り上げ方がうまい。帰ってから彼のYouTubeを見たけど教え方も丁寧で分かりやすかった。今回はp5.jsとml5jsで簡単なゲーム作りを行っていた。 Teachable Machineで、その場で観客にぬいぐるみやお菓子を持たせてカメラで撮影したものや、観客の拍手の音を学習させて、それを使ってキャラクターをレースさせるゲーム作ってた。途中エラーがでた時も観客が「ファイル名にスペースが入ってる」って反応して一緒になって作ったり、「大丈夫バックアッププランがある」って言って3分クッキング的に用意済みのコードを持ってきたりとかとにかく飽きない1時間だった。
Lauren Mccarthy、彼女の実験的なアート作品の数々が面白かった。Followerは、フォロワーを増やしたい、知らない人に見られたいという欲求を表現するために、本当のフォロワー=物理的にあなたのことをウォッチする人を提供するサービスにしたアート。LAURENは、人間版Amazon Alexaだ。作家本人がカメラやマイクで24時間365日間参加者の家と遠隔で繋がる、彼らのニーズを予測して反応できるので、AIよりも優れているーというものだ。AIスマートスピーカーが普及していく中で将来どうなっていくのか、人間の役割はどうなっていくのかという示唆に飛んでいる。彼女の作品はどれも面白かったのだけれど、さらに彼女が面白いのはp5.jsの開発に携わっている点だ。
Refik Anadol、Closing Partyで発表してくれたメディアアーティスト。もう圧巻の一言。彼は自分の作品を「Parametric data sculptures」と呼んでいるけれど、街のデータなどを視覚的に表現した上でそれを建築物に埋め込んだインスタレーションを発表している。
Diana Nucera、ラストを飾ってくれたアーティスト。別名Mother Cyborg。Detroit Community Technology Projectのディレクターでもある彼女はデトロイトでのプロジェクトを紹介してくれた。デトロイトでは70%の学校に通う子供が家でインターネットに接続できる環境がない。(モバイル、固定回線の両方ともない)光ファイバーは通っているけれども、貧困地域内では、電気通信事業者は良いサービスを提供しないか、光ファイバーを使える状態にすらしないらしい。そこで独自のインフラを築いて彼らがインターネットに接続できるようにしたそう。
他にもさまざまな登壇者がいたり、毎晩別の会場で参加者同士が繋がれるイベントがあってとても濃い4日間だった。席で隣になった人に話しかけたり、はじめて会った人と一緒にパズルやミニゴルフしたり。とても多くのことがあって、すべてをうまく書き表せない。
私が見た登壇についてはNotionにまとめたので、もし興味がある人がいれば。