灰色ハイジのテキスト

サンフランシスコで働くデザイナーの日記とか考え事とか

古屋誠一 メモワール. 「愛の復讐、共に離れて…」


写真美術館で行われている古屋誠一 メモワール.の展示に行ってきた。
亡くなった妻クリスティーネさんの写真を様々な視点で整理し、様々なタイトルで展示を行ってきた古屋さんですが、今回はその集大成とも、終止符とも言える展示だった。展示のタイトルにもピリオドが打たれている。


クリスティーネさんの表情が印象的で、つい見入ってしまう。2年前の展示の時には無かったけれど、お子さんと写っている写真が印象的だった。それというのも被写体は2人のはずなのに、クリスティーネさんに焦点が当てられているからだ。
しかし展示を見て行くうちに変化に気付く。だんだん子供の方にもスポットが当てられているのだ。
今回の展示は学芸員の方が構成し展示を行ったそうなのだが、私が見ていた箇所は「光明」と名付けられたもので、それは古屋さんの息子さんの名前であった。


2年前の展示を見た時は悲しさや、空虚感を感じた記憶がある。今回の展示は冷静な感じがしたのだけれど、それはやはり他者が構成したものだからなのだろうか。
記憶をたどる為の糸のような記録写真、感情を感じ取る為のデバイス、というより、そこにあったものは写真だった。